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18章:寂しさの正体
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18章:寂しさの正体
ふと、垣根から覗き見している自分に気づいた。
いつまでもこうしているわけにも行かないけど名残惜しい。
ぐるりとひと周りしてみることにした。
裏口に廻るとそこからは懐かしい庭が垣間見えた。
そこには落ち葉が集められていた。
ここで笑い、ここで泣きここで育った。
確かに私はあの日ここにいたのだ。そう思うと涙が溢れた。
人はどうして懐かしい風景に出会うと泣くのだろう。悲しいわけでもないのに。
あのときは気がつかなかったけど、私はこの庭が大好きだったのだ。
今頃になって気づくなんて可笑しいね。ひっそりと苦笑いした。
落ち葉を竹ぼうきで庭の片隅に掃き寄せておいて、木枯らしがそれを撒き散らす頃になると、父が「そろそろやるか!」と言ったんだった。
私は目を輝かせて、お姉ちゃんと二人して「きんとき、きんとき」と意味も分からずに連呼しながら八百屋に走った。スキップしながら。
そして落ち葉焚きが始まり、モクモクと煙を上げる枯れ葉の山を無心に見つめた。
時々、小枝でつつきながら、「もういい?」と父を振り返ったことが昨日のようだ。
「まだまだ」と笑う父がそこにいた。
「貸してごらん」と小枝を取り上げ、火加減を調節する姉がいた。
「銀紙を破いちゃ駄目よ」と覗き込む母がいた。
そんな光景を思い出しながらやっと分かったことがあった。
あのときひとつにまとまっていた家族が今はバラバラになろうとしている。
父は他界し、姉は遠い異国の地、シンガポールへ嫁に行き、そして今私が嫁いだら母はひとりぼっちになってしまうことだった。
心にわだかまっていた何かの正体を見た気がした。
それは仕方のないことだけど、寂しいことには変わりがなかった。
どこからともなく、焚き火の匂いがした。
第一章 終わり
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