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9章:やがて哀しきお弁当
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9章:やがて哀しきお弁当
はじめての男の子とふたりだけのデートは素敵だった。
なんと中学生同士のいきなりの夜デート。
6月の横浜開港記念日の花火。
山下公園のめまいがするようなもの凄い人ごみの中で、はぐれないようにと、しっかり手をつないでくれたときのときめきは、今も鮮明に胸の中にある。
お弁当事件はそれから4ヶ月後の秋の野毛山動物園での出来事。
桜木町からもみじ坂を登りつめた辺りに入場無料の動物園がある。
中学生のデートなんてバリエーションは限られていて…
大体、映画に行くか、遊園地に行くか、動物園、水族館、後は公園くらいなもんだろう。
もとよりお小遣いが少ない中学生である。自然と無料の動物園という選択になる。
デート前日まで長雨が降り続いていた。
デート当日は見事な晴れになった。それが返ってあだになった。
想像してみてほしい。
雨上がりの後の動物園を…。
何処へ行っても、何を食べても、山羊のチーズの匂いがする。おまけにお手製のお弁当のサンドイッチの中身はチーズとハムと玉子である。
よせばいいのに、スペシャルメニューで、カツサンドと唐揚げとサラダと、デザートにうさぎリンゴまで作っていった。
口にこそ出さなかったが、唐揚げはラクダを食べているみたいな気がしたし、キャベツなんか干し草を連想させた。
彼は「旨いよ」と言いながら顔が引きつっていた。
私も情けない気持ちだったけど、「ありがとう」と精一杯応えた。
けれどもそんな所で何を食べても、食欲なんてあるわけがない。
当たり前だけど、残してしまいそうになった。
確かキリンの小屋の前のベンチだった思う。
何故か孔雀が放し飼いになっていて、「ねぇ、何食べてんの?豆なら少し分けてちょうだい」というふうに覗き込んで来た。
彼は何を血迷ったか「ほら、食え!!」とサンドイッチを投げ与えた。
私は彼の行動が信じられなかった。というより悲しかった。
孔雀も、「そんなもの食えるか!」というふうに、きびすを返してスタコラどっかへ行ってしまった。
確かに場所も味も、たいしたことない物だったかも知れない。食欲もなかったかも知れない。
でも一生懸命作ったお弁当を目の前で放り投げられたのだ。
100年の恋も冷めるというものだ。
かくして私の淡い初恋は泡のように消えていった。動物園の匂いとともに…。
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