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10章:道
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1人1人の言葉を強く刻み込んだ柚稀君は、キャリーバッグの取っ手をぎゅっと握り締め、手首に巻かれていた腕時計を見る。
「そろそろ行くね。見送りありがとう」
伝え終わると、私の方に視線を向けた。
「…広幸は僕の大切な友達だから、宜しく頼むね…女の人に言うのも変だけど…」
言い終わると、初めて私に優しく微笑んだ。
まだ見えぬ、無限の可能性を秘めた夢の道へと柚稀君は1歩…1歩と歩み出した。
姿が見えなくなるまで見送ると、優斗さんは大きく伸びをし、柚稀君に刺激を受けたのか、ぼそっと呟いた。
「俺も頑張らなきゃなー」
きっと…みんな、心の中で優斗さんと同じ事を思っていた。
家庭、友達、恋人、夢…
守りたい物、進む道は異なるけど、私達はそれぞれの道を歩み出そうとしている。
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