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3章:舞台の幕は開く
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「フュメってのは正式にはフュメ・ド・ポワソンと言って魚の出汁でソースのベースになる物さ」
途端に堰を切ったように英が答えた
「そのフュメに通常バターやクリームを加えてソースを作るのだ。フランスでは舌平目などのアラを使うのが一般的だ。日本料理で言う生出汁だな、日本では鯛を網で炙った後で出汁を取る」
西原も競うように解説する
「この料理の場合、ロックフィッシュって言ってカサゴやソイみたいな岩場にいる磯魚を使ってフュメを取ってるって事。アラじゃなくて、魚を丸ごと煮て出汁を取ってるんだよ。マルセイユの料理にブイヤベースってあるよね。これもこういった類いの魚が味のベースになってるんだ」
と英
「他にはホウボウやメバルなどが一般的な磯魚だ。勿論、身も旨いのだが、これらはフュメやスープにした時に食材としての真価を発揮すると私は考えている」
と西原
「ここで使っているカサゴやソイは静浦あたりのだろうね、ここの水は静岡県駿東郡の柿田川湧水群のから運んでいるらしいから、ついでに魚もその近所から来るんだろう」
と再び英
(ダブル解説かよ…)
健治は何となく首をすくめた
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アントレ・アントレ ©著者:黒蝶少年
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