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8章:12月25日 (1/3)

8章:12月25日

両国のお寿司屋さんで
家族の忘年会を終えた後、新宿へ向かう。


「お店に着くの、9時位になっちゃう」

「わかった!待ってるね」


クリスマスパーティーを想像していた私は
店に入ってビックリした。



いつもと、みんなの服装が一緒だから。

せっちゃんも、ビックリしていた。


何しろ、私はエルメス柄のワンピースだったから。



すごい場違いなことに恥ずかしくなったけど

せっちゃんは、なんだかとても喜んでいた。


「とりあえずビール?」

「うん」


いつものように…とは
いかなかった。


「気持ち悪い」

「え?」

「お寿司、詰め込むだけ詰め込んできたから、胃が破裂しそう…吐いてくる」


トイレへ行った。

けれど、普段吐いたことないので吐けない。


「吐けた?」

心配そうに聞いてくるせっちゃんに首を振って席へ戻る。


「どうしょ…シャンパン飲んだら吐けるかな?」

ソバにいたスーパー内勤に聞いてみたら、笑われた。

「飲んでみる?」

「うん、やっすい吐けそうなヤツ」



せっちゃんが

「どうせなら、飲んでも美味しいのにしようよー
ロゼでいい?」

「なんでもいい」


そんなつまらない理由で、記念すべき初シャンパンは

吐くためだけに卸された。


吐きなれてない私は
結局吐くことが出来ず、苦しさに拍車をかけただけだった(笑)


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色糸 ©著者:高田庵

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