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10章:慟哭 (2/8)

「今日は松下先生が休みなのでこの時間は自習になります」


担任の小池先生が急遽クラスに顔を出すとそう告げた。


4時間目が自習になるくらいなら、そのまま終わりにしてしまえばいいのに。


うちの学校は隔週で土曜日は午前中だけ授業がある。


今日がその日にあたるのだ。


教室で各自黙々と自習に励む中、ふと参考書を忘れた事に気がついた。


そういえば、同じ参考書が図書館にあったはず。


教室を出て、図書館に向かった。


図書館では数人の学生が黙々と勉強に励んでいた。


参考書を手にして座席に向かう途中、卒業アルバムのコーナー前で足を止めた。


玲奈も確かここの学校に通ってたんだよな。


吸い寄せられるように卒業アルバムのコーナーに入った。


今が26歳だから平成13年度卒業か。


すぐに13年度のアルバムを見つけ、玲奈の姿を捜した。


…居ない。


やはり9年前に引っ越したと同時に学校も変えたのか。


それとも転校する余裕もなく…


『レイちゃんのママの都合で引っ越しちゃったみたいなの』


小百合さんの言葉が頭に浮かんだ。


僕が熱をぶり返して入院してから退院するまで約一週間くらいだったはず。


そんなに早く引っ越しをしなきゃいけない事情なんてあるものなのか?


それとも前から決まっていた?


じゃあ何で玲奈はあんな約束を軽はずみにしたんだろうか。


プラネタリウムに行こうだなんて。


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鏡花水月 ©著者:ゆえ

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