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10章:慟哭
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珈琲を手に部屋に戻ると繭は勉強の準備をしていた。
昨日の居残りが堪えたのだろうか。
いい心掛けだ。
「お待たせ。それじゃあ始めようか。まずは37ページの問1から問6までやってみせて。わかんなかったら聞いて」
「…は〜い」
繭は腑抜けた返事をした。
何だ?
早くも眠くなったのだろうか。
繭はペンを取ると黙々と勉強を始めた。
その様子に安心しながら僕も宿題に取り掛かった。
「…ねぇ、いち君?」
繭がペンを置くとゆっくりと僕を見た。
「ん?何?もう行き詰まったの?」
「…エッチしようよ」
「…は?」
唐突過ぎる誘いに今度は僕が腑抜けた声を出した。
「いち君…ね?」
繭は返事も聞かずに僕をベッドに押し倒すと口唇を重ねた。
繭のシャンプーの香りが鼻先をかすめた。
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