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10章:慟哭 (4/8)

学校が終わり、繭と帰宅すると小百合さんの姿はなかった。


「あれ?どこに行ったんだろう」


僕が周りを見渡してると後ろで繭がため息をついた。


「もぅ!いち君、携帯チェックしてないでしょ?小百合さんからメール入ってるよ〜」


「えっ、本当に?」


慌てて携帯を開くと僕と繭宛にメールが入っていた。


【ごめんね〜
ジムの友達にご飯誘われちゃったの
夕方には帰るから夕飯は任せておいて
勿論、繭ちゃんの分もね

お昼は引き出しにお金入ってるからピザでもとってちょうだい


なるほど。


僕は引き出しから財布を取り出すと繭のほうを向いた。


「繭、ピザにする?」


「いち君に任せるよ♪」


「じゃあ米が食べたいから丼物でもいい?」


「うん♪」


二人で出前の丼物を食べて少し休むと部屋に移動した。


「久々のいち君の部屋だぁ♪」


繭はまるで初めて来たかのように大袈裟に喜んだ。


「そんな久々ってわけでもないだろ?今、珈琲淹れるから待ってて」


僕はそう言うとリビングに戻った。


繭は食後は眠くなるから珈琲が必須なのだ。


今から勉強を教えるのに寝ぼけ眼で聞かれたら意味がない。


それにしても“久々”か…

僕はそんなに繭をほったらかしにしていたのか。


口ではああ言ったものの良心の呵責に苛まれた。


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鏡花水月 ©著者:ゆえ

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