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7章:葛藤 (7/7)

「もう一度聞く。9年前、どうして何も言わずに居なくなった?」


同じ質問に玲奈は苦笑いした。


「どうあってもそれが聞きたいのね。そんなに私の事が気になるの?」


「うるさい!」


瞬間、頭に血が昇った僕は玲奈の手からラベンダーをむしり取り、地面に投げつけると両手を掴み壁に押しあてた。


「知ったような口を聞くな!あんたに何がわかる!!」


困惑が隠せない玲奈を他所に僕の勢いはおさまらなかった。


「勝手に消えて勝手に現れて…僕がどんな思いだったか!!」


気がつけば涙が溢れていた。


「傍に居てくれるって、どこにも行かないって…全て馬鹿みたいに真に受けてた」


「いち…」


ひんやりと冷たい手が頬に触れた。


「…あんたの事、大好きだったんだ」


玲奈は悲しそうな顔をすると僕の顔を自らの胸に導いた。


僕は小さな子供のように玲奈の胸で泣いた。


泣いたのは何年ぶりだろうか。


父が死んだ時も泣かなかった。


本当は泣きたかったのに涙を必死に堪えていた。


僕はその数年間を取り戻すかのように泣き続けた。


ただ頭を撫でる玲奈の手が心地よかった。


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鏡花水月 ©著者:ゆえ

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