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7章:葛藤
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「もう一度聞く。9年前、どうして何も言わずに居なくなった?」
同じ質問に玲奈は苦笑いした。
「どうあってもそれが聞きたいのね。そんなに私の事が気になるの?」
「うるさい!」
瞬間、頭に血が昇った僕は玲奈の手からラベンダーをむしり取り、地面に投げつけると両手を掴み壁に押しあてた。
「知ったような口を聞くな!あんたに何がわかる!!」
困惑が隠せない玲奈を他所に僕の勢いはおさまらなかった。
「勝手に消えて勝手に現れて…僕がどんな思いだったか!!」
気がつけば涙が溢れていた。
「傍に居てくれるって、どこにも行かないって…全て馬鹿みたいに真に受けてた」
「いち…」
ひんやりと冷たい手が頬に触れた。
「…あんたの事、大好きだったんだ」
玲奈は悲しそうな顔をすると僕の顔を自らの胸に導いた。
僕は小さな子供のように玲奈の胸で泣いた。
泣いたのは何年ぶりだろうか。
父が死んだ時も泣かなかった。
本当は泣きたかったのに涙を必死に堪えていた。
僕はその数年間を取り戻すかのように泣き続けた。
ただ頭を撫でる玲奈の手が心地よかった。
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