翌日、僕たちが集まった待ち合わせ場所の喫茶店は、こじんまりとしていて雰囲気のあるお店でした

磨かれた木が綺麗な艶を放っていて、紅茶にこだわりがあるらしいご主人が、スリランカ在住のバイヤーさんから特別に仕入れたというアール・グレイや、香港のペニンシュラホテルのアフタヌーンティーの物を模したという焼き菓子についての蘊蓄をひとしきり語り、英国趣味の僕の父がここにいたら、さぞ話が合ったことでしょう

しかし僕のテーブルではさっきからお店の雰囲気にそぐわない、不毛な話し合いが続いています

相沢が身振り手振りを交えてしゃべりまくり、万蔵が言葉少なに応じます

何しろ話の内容が内容なのでお互い大声を出すわけにもいかず、声を殺しての話し合いなので聞いていると余計にイライラがつのります

まぁ僕がイライラするのは相沢の言い分になのですが