彼が有名になればなるほど、二人の時間は減って行った。

逢う時間がないからと、生活費を振り込みで渡すことも多くなった。

手元に残る振り込み明細だけでも合計200万。

友達じゃなくなってから一年たっていた。


久々に彼に逢える日。


すごく楽しみで、早起きしてばっちりおめかしして待ち合わせ場所に向かった。

人目に付かないようにタクシーに乗り込んで、二人のお気に入りのラブホに入った。


いつものように二人でお風呂に入って、デリバリーのピザでも頼んで、彼の新曲のデモテープ聞かせてもらったりして、二人だけの穏やかな時間になるとおもっていたのに。


ソファーに腰掛けたままうかない様子の彼。


いやな事あったかな？


何か悩んでるのかな？


あたし、久々に逢えるの嬉しすぎてうざかったかな。


どうしたの？って聞けなくてお風呂わかしたり、お茶いれたりうかない彼に気づかないようにパタパタ部屋を動き回った。