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3章:しゃぼん玉
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『…ゆまってば!!』
本当は後ろから
追い掛けてきてくれた
ありさの声に気付いてた。
でも今の自分の姿は
誰にも見られたくなくて…
だから腕を掴まれるまで
気付かないふりをして
振り向かなかった。
あたしの前に回り込んだありさが
あたしの顔を見てカバンを探り出した
『ほら‥』
差し出してくれたハンカチで顔を覆って、その場にしゃがみこんだ
『…ごめ……』
こんな最悪な結末って…
『…っ最悪』
『大嫌い…』
『…ふざけんな』
色んな暴言を吐いてみるけど、涙が止まる訳でも気持ちが落ち着くわけでもない
理由は極めて単純明解。
――…少しでも嫌いになる事が出来たならもっと楽だっただろうに
涙と供に溢れだす想い…
だめだよ。
無理だよ…
泣けば泣くほど実感してしまうこの想いは、何て苦しいんだろう…
最低って思いながら頭に浮かべる、和希と過ごした楽しい一時
忘れたいって思いながら【あの時こうしていれば…】頭に浮かぶいくつもの未練
大嫌いと口癖のように言いながら、決して削除する事の出来ないメモリ
別れの言葉すらなかったけど終わりの形は完璧だった…
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春夏秋冬 ©著者:ゆま
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