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11章:どうしても食べたくて
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11章:どうしても食べたくて
退院してから数日が立った。
ママが出す食事は毎回変わらない…。
※納豆※冷奴※オカラ※ヒジキ煮※鶏肉(皮を取り除き、油で焼いたものじゃなく、蒸したもの)※生卵※カレイ※生野菜サラダ(ドレッシング、マヨネーズ無し)
こんな食事が毎回繰り返された。
他の家族達はというと…
※カレー※ハンバーグ※肉じゃが※サンマの塩焼※牛肉※シチュー※焼肉※ラーメン※揚げ物 等が出された。
私が退院してから4〜5日は、家族も同じ食事で我慢をして合わせてくれていたのだが、パパや弟が我慢をするのに限界がきた。
差別かと思うくらい食事には差があった…
美智 :ママ、美智もそっちのオカズ食べたい…
ママ :血糖値が上がるからダメだよ
美智 :…………
どんなに食べたくても食べられないという辛さ…
ママは仕事に行く前、子供達の【おやつ】を用意して仕事に出掛ける。
私のオヤツは毎回、【果物か醤油せんべい3枚】のどちらかだ。
姉、弟、妹に用意されるオヤツは【ポテトチップ、チョコレート、プリン】等…スナックお菓子…
いつも羨ましく思った。
そんなある日、学校から帰ってきた私は、仏壇に目を向ける…そこには………
【板チョコ】が御供えされてあった。
周囲をキョロキョロと見渡し、私以外誰も居ないことを確認する。
美智 (食べていいよね…少しくらい食べたって怒られないよね…)
そう自分に言い聞かせ、仏壇からチョコレートを取り、パクパクと食べた…。
涙が出そうなくらい美味しかった…久し振りの甘い味…
食べ終った私は、血糖値が上がらないよう、近所を何周も走り続け、縄跳び運動を必死にやった。
家族が家に帰り、ママが仏壇に御供えしてあった板チョコが無いことに気付く…
ママ :あら?仏さんに上げておいたチョコ誰か食べた?
姉 :食べてないよ
弟 :食べないよ
妹 :知らないよー
美智 :たっ…食べないよ…
ママは犯人は私だとすぐに気付く。
ママ :美智、あんたが食べたんでしょ!!
美智 :食べてないよ…
ママ :嘘言うんじゃない!嘘言うと神様からバチが当たるよ!
美智 (そうだよね…神様の物勝手に食べたらバチがあたるよね…)
美智 :ゴメンナサイ…食べた
ビターーーンッッッ!!
その音は家中に響きわたるほどの大きさ…
一気に家族達が無言になり、私と目を合わせようとしなくなる。
何も言わぬまま…ママは私の頬をおもいっきりビンタしたのだ…
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