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20章:盗聴
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自分はお腹すいていなくても、子供には何か食べさせなきゃいけない。
そう思い、パンケーキを作り始めた。
もうすぐ2歳になる男の子だけど、家のお手伝いをよくしてくれる。
この日もパンケーキの生地をこねるのを手伝ってくれた。
何も知らずに楽しそうにしている子供を見ていると、また涙が出そうになる。
そんな気持ちをグッと堪え、何もなかったように振る舞う。
フライパンに子供の手をとり
『ハートの形にしようか。』
と、フライパンに生地を流し込む。
台所からの匂いにつられ、
『なんだ。女って、立ち直り早いな。』
と言いながら起きてきたヒモ。
『アナタも食べる?』
と言う言葉に被せるように、
『オマエ今日仕事は?』
『休んだ。』
『ふん。女は立ち直りが早くてノンキな生き物だな。オレちょっと出掛けるから、昼飯いらね。』
と言い残し、サッサと着替えて出かけて行った。
その瞬間、膝から崩れたワタシ。
『ママ〜らいようぅ?』
と近付いてきた子供を抱き寄せ
『ありがと。大丈夫だよ。パンケーキできたから食べようか。』
『わーい。ハートのケーキーらぁ。』
以前、ヒモに叩かれた時、鼓膜が破けた子供。
そのせいで、言葉が同じ年の子供より辿々しい。
その辿々しい言葉で、いつもと違うワタシを気遣っているのか。
そう思うと、また泣けてくる。
子供に涙を見せまいと、すればするほど、こぼれてくる。
今日のワタシは、涙腺が壊れて、本当にダメだ。
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