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1章:机上の相対性理論
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1章:机上の相対性理論
5年前のまだ、僕が高校生だった時、
同じクラスで、後ろの席に座っていた友達がいた。
彼はクダラない事をいつも話して、
僕もクダラない事を話した。
深い仲でも無かったし、浅い仲でもなかった。
春の桜が散った頃、
彼は死んだ。
死因は交通事故。
彼はバイクを乗っていて、前方のバスを追い抜こうとした時に
対向車線から来た乗用車と正面衝突した。
車にあたった衝撃か、
跳ね飛ばされてアスファルトに打ち付けられた衝撃か、
分からないけど、
彼は一瞬で、苦しむ間も無く死んだ。
僕は彼が死んだのが未だに信じられない。
というか、また会える気がしてならない。
葬式も行かなかったし、
未だに墓参りだって行ってない。
彼の時間は死んだ時のまま止まっていて、
まだ、17歳。
僕の時間はその後も、
その前と変わらず、時を刻んで、
今年で22歳になった。
時々、ふと同じ時間を過ごした彼を想像する。
つまり、僕と同じ22歳の彼を。
彼は髪型を流行の先取りをして、しょっちゅう変えていたから、
きっと、ホストみたいな髪型で
シュッとしたタイトなジンズとジャケットを着こなしているんだろう。
僕は1年前に出来ちゃった結婚をした。
必然的に今は息子が1人いて、
ちょっと前に僕が浮気相手に本気になって
別れるつもりで、いた僕を
本気で必要って言ってくれた、慈悲深い嫁いて
まぁ、今良い感じの仲になってっていう生活をしている。
そういえば、この前
電車でお前にそっくりなヤツがiPod聞きながら、
窓際によっかかって外を眺めてた。
僕は、座席に座って、
外の景色とそいつを順番に見ながら
話しかけようか迷ってた。
結局、話し掛けなかったけど、お前とは違う人間だった。
もし、お前だったら、俺が迷う前に、
「おい、久々じゃん!どこ行くの?」
って笑いながら、話し掛けてくるだろ?
死んだら、どうなるかなんて分からないけど、
また、会ったら酒でも飲みながら、
クダラない話しでもしようぜ。
あと、ひとつ言いたい事あったわ。
お前、さすがにツイストパーマは似合ってなかったぞ。
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