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19章:暁海のハナシ
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19章:暁海のハナシ
誘蛾灯に群がる虫のように、
フラフラと青い明かりに向かう。
「痛っ
」
・・・何やってんだか。
小石を踏んだ裸足の痛みが、
アタシを正気に戻した。
靴は履いてナイ、
財布もナイ。
コンビニ行って、
どうすんの
笑
戻ろ・・・
元来た道を、
回れ〜右
アレ・・・
何階の何号室だったっけ
電話して聞こうにも、
携帯がナイ
ハァ・・・
自分のバカさ加減に、
ほとほと愛想が尽きる。
ため息混じりにマンションの入り口、
大きな木製の扉を開けると、
オートロックのガラス越しに、
腕を組んで立っている彼の姿が見えた。
怒ってんのかな・・・
軽くビビる、
強気の小心者。
笑
アタシに気付いた彼が、
腕を解いて歩み寄ると、
静かに開く、
ガラスのドア。
「・・・オレん家、
何階の何号室
」
「・・・〇〇階の・・・
〇〇・・・
イヤ、〇〇
」
「・・・それじゃオマエ、
一生ウチには入れないぜ
笑」
呆れ笑いを浮かべながら、
彼が急にしゃがみ込み、
アタシの膝裏に右腕を回す。
「え
ちょっ
キャ〜
」
次の瞬間、
まるで丸太を担ぐかのように、
アタシの身体は宙に浮いた。
「何
ちょっ
え
」
ジタバタと騒ぐアタシを、
フルシカトで彼は歩き出し、
向かった先は地下駐車場。
ハザードが2度点滅した、
純白のメルセデス。
ドサッ
左手で右のドアを開け、
彼はアタシを黒革の海に放り込む。
ギシ・・・
右手で左のドアのドアを開け、
ゆっくりと黒革の海に浸かった後、
眠っていたV12に、
彼は再び火を入れた。
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