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2章:お別れの日。
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2章:お別れの日。
お葬式の日、あたしはやっと喪服を着て、秀兄ちゃんの最期の顔を見れるようになった。
リョウはまだ気がはっているのか、色んな人に挨拶をしたり、父と一緒になって、動いてくれた。
あたしは、傷のある秀兄ちゃんの顔を見ては、ずっと泣いた。
あたしの父は医者で、親戚もみんな医者だった。秀兄ちゃんももう大学でドクターをしていて、お葬式に来ていたのはお医者さんばかりだった。
あたしはちっちゃい頃から頭が悪くて、洋服や靴を集めるのが大好きだったので、親戚からはよくバカにされていた。あたしが、何を言われても秀兄ちゃんはいつも守ってくれた。あたしがふてくされてると、サヤはサヤの才能を生かせばいいんだよといつも笑ってくれた。
秀兄ちゃん、あたしが兄ちゃんを守れなくてごめんねって、あたしは自分を責めた。
そしてお葬式にくる親戚にもお医者さん達にも気がつけば、イライラしていた。秀兄ちゃんの大切な日なのに、あたしの心は汚かった。
あんたたち、どんだけ患者さん持ってるか知らないけど、なんで秀兄ちゃんのこと、守れなかったんだよって、責めてしまう気持ちでいっぱいだった。怒りのホコサキが間違ってることはわかってた。でもやっぱりお医者さんなんて、ダイキライだ。
リョウは来年が国家試験だから、そんな気持ちは言えなかった。でもあたしはどうしても言いたくて、マリにずっと自分の悲しみを怒りに変えて、彼らを責めた。マリは、ずっと何も言わず聞いてくれ、あたしの背中をさすってくれた。
泣いて責めて、泣いて責めて、あたしはあの1日をもう一度やり直せるなら、秀兄ちゃんの天国での幸せをキレイな心でお祈りしたいよ。
秀にぃ、ごめんね。今もずっと悔やんでる。
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兄ちゃんが死んだ夏。 ©著者:マキタ アヤ
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