ねぇあなた


あなたが見下した
あたしは立派な風俗嬢になりました


あなたのことが
大好きで大好きで
何をしてでも守りたくて

傍にいたくて
隣にいたくて

あなたの笑顔が見たくて

あなたの唯一の存在になりたくて

その為に風俗の世界に入り
せっせとお金を運んだね

美味しいものを食べ、欲しがるものを与え、やりたいことをさせてあげた


欲しがるばかりで
何も与えてくれないあなたに
嫌気がさし

あなたのため、と
最もらしい理由をつけて
いきなり放り出した
自分勝手なあたし


見返りなんて求めてない


そんなの嘘

あなたの心が手に入らないから

｢あたし｣の愛を認めず
｢あたし｣の｢お金｣を愛したあなた

大好きなあなたから教えてもらった

｢お金｣
という媚薬


同種類のあなただから
こんなにも魅かれたんだね

愛だと勘違いしてたんだね

何年もかかってようやく
｢本当のあたし｣
に出会えたよ


お金が大好きで
お金に取り憑かれ
愛も情も持たない

そこに気付いてしまったから
偽善者ぶるのは止めたから

病まなくなったよ


もう安定剤も睡眠薬も必要ないの


お金があれば満たされるから


身体の傷は休めば治る

だから
あたしはお金のために
動くダッチワイフになるわ

心の痛みは｢リカ｣が引き受けてくれる

売女は｢あたし｣じゃなくて｢リカ｣だもの

泣いてるのは｢リカ｣



ねえ、あなた

｢あなた｣
を愛したあたしは
もう、いない


あなたに出逢えて良かった

ありがとう


｢リカ｣に出逢わせてくれて

ありがとう



あなたを愛して得たものは

あたしにお金を運んでくれる

｢リカ｣という人形