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10章:公衆電話 (2/19)

雪が降っていた。


走るたびに背中のランドセルがガシャガシャと鳴る。


どのくらい走ってきたんだろう。


冷たい空気で喉が痛い。


疲れた足を止めて空を見上げた。


真っ暗な空から降ってくる雪が、私を吸い込んでいくような感覚。


このまま空に行けないかな…。


そう思うと涙がさらに出てくる。


いくら走ったって空には行けない。


足にまとわりついた感触は、いくら拭ってもまとわりつく。


きっと高い所に飛ばないと、空へ飛んで行かないと離れないんだ。


ザワザワとした感覚がまた足を上ってくる。


まだ息が整わないけれど、私はまた走り出した。
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かげおくり ©著者:虹

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