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9章:港南台
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膝を抱える手が震えている。
え、禁断症状ってヤツ?
眉間のシワを深くしながら視線を上げると、明日香の頬に涙が流れていた。
「え!?何で泣いてんの!?」
泣いてるのに気づくと、明日香は膝に顔をうずめて肩を揺らした。
「私もう死にたい!!死にたいのに死ぬの怖いの!!」
…。
「もう全部がヤダ!施設も学校も全部ヤダ!!」
…。
「逃げる場所なんかないんだから、死ぬしかないじゃん!!!死にたいけど怖いんだもん!!」
明日香が泣きながら怒鳴るのを、私は黙って見つめていた。
…いや、黙って見つめることしかできなかった。
私に言わないで…。
それ以上言わないで。
思い出す…。
思い出したくないことを思い出すから、やめてよ。
明日香を見つめていたはずの目には、私の過去が映し出されていった。
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