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2章:傷
華蓮はいつしか眠りについていて、目を覚ました。
身体をゆっくり起こして目を擦り、携帯の時計を確認したら16:00だった。
華蓮は洗濯、家事、夕食の準備を手際良くし始めた。
華蓮は母親と2人暮らし。
父親は華蓮が小学生の時に離婚して家を出て行った。
母親は夜働く仕事をしていて、彼氏がいるから丸1日帰ってこない日は良くある事だった。
だから華蓮は家の事を一人で自然と何でも出来るようになった。
一人暮らしのようなものだった。
夜ご飯を食べるのも一人きり…
静かな夜。
時計の秒針の時を刻む音がリビングに鳴り響く。
食事が終わり、食器を洗い、テーブルを拭いて片付けた。
お風呂に入り、髪を乾かし、自分の部屋に入った。
華蓮は慣れているつもりである。
父親も母親もそれぞれ恋愛を求め家庭を捨てた、華蓮を残して。
華蓮は自分を責めた。
同時に恋愛というものを憎んだ。
幼い頃に押し殺した寂しい愛されたいという気持ち。
華蓮はいつしか過食症という病を患った。
夜中になると嫌な記憶が次々と蘇り、辛く苦しい想いで溢れる。
買い溜めしてある大量のお菓子やパンやマヨネーズやマーガリンやホイップクリームをテーブルに広げ、凄まじい勢いで食べ始めた。心が満たされるまで…
そしてトイレへ駆け込み、喉に人差し指を容赦無く突っ込み食べた物を全て吐き出す。
華蓮にとっては必死の行為だった。
中途半端な嘔吐では絶対に許さなかった。
全て吐き出した事を自覚したその瞬間、華蓮は満たされる。
「これで太らなくて済む」と。
しかし、また不安になる。
「まだ胃に残っているかもしれない」と。
だからトイレから出てきた後は何百錠もの下剤を飲んで、ようやく安心して心も安定した。
華蓮はモデルのような小顔で長身細身の身体である。
それなのにもっともっと痩せようとする。
しかし、痩せたいと思えば思う程過食の量は増えるのであった。
華蓮は安らかに眠りについた。
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