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3章:クロの正体?
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しかし、家についたものの急に来たりして迷惑じゃないかと、いろいろ考えておばあさんの家の階段前でウロウロしていると、近所の人だろうか…すれ違いに怪しんだ目で見られてしまった。
私は出なおそうかと引き返そうとしたとき、
―…ニャァニャァ〜…―
いつの間にかクロが階段の上にちょこんと座っていた。
私はクロの呼び掛けに知り合いに会ったようにホッとして階段を上った。
『…やっぱり尻尾2本ある…ねぇ、クロ。きみって妖怪なの…?』
私はクロのそばにしゃがみ瞳を覗き込むようにして見た。金と深緑色の瞳は見ていると吸い込まれそうだった。
「…あら?…明日美さん?」
庭の奥からおばあさんが、じょうろ片手に優しい笑顔で声をかけてきてくれた。
『こんにちは…おばあさん。あ…遊びに来ちゃいました。』
「まぁ!いらっしゃい。嬉しいわぁ…さっ…あがってちょうだい。お茶にしましょう。…クロもいらっしゃい。ミルクがあるわ。」
おばあさんは急に訪ねてきた私に対して優しく迎えてくれた。
クロは私よりも先にトコトコと家に向かい、その尻尾は…1本になっていた。
『…私にだけ…?それともおばあさんには正体を見せたくないのかな…?』
私は例によってソファーでどっかりとくつろいでいるクロをまじまじと見つめ、ブツブツと独り言を言っていると、ハーブティーの良い香りが部屋中に広がり、
「お待たせ。今日はねクッキー焼いたのよ。…はい、クロはミルクね。」
『…あ。おばあさん。コレ、シュークリームなんですけど良かったら召し上がってください。』
「まぁまぁご丁寧にありがとう…まぁ美味しそうだわぁ。それじゃぁクッキーと一緒に頂きましょう。」
おばあさんはお皿にシュークリームとクッキーを乗せてくれた。
私はこの前のお礼をと思いおばあさんから貰ったポプリでとてもリラックスできた話をした。
『…それでね、お風呂に入れたらすっごいいい香りで、いつもは睡眠薬飲まないと眠れないのにその日はぐっすり寝れたの。』
私の睡眠薬と言う言葉におばあさんは表情を暗くして、とても心配そうな顔になってしまった。
「睡眠薬だなんて…明日美さん…何か心配事や悩みでもあるの…?」
私は悩みなんて無い。心配無いと言おうと思ったのだが、おばあさんの真剣な瞳に祖母を思い出し…言葉が詰まり…目の奥が熱くなってきてしまい喉の奥がグッと痛くなった。
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黒の扉 〜金木犀〜 ©著者:金木犀
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