5章:二十歳 (3/11)

カズとの香港旅行を終え、日本に帰ると、インタビューの仕事が入っていた。

写真も撮ったりするので、そのつもりで化粧をして、髪を巻き、事務所に向かう。

事務所には、いつも誰かしら人がいて、事務員や、経理の人、マネージャーにタレント、たまに社長がいたりする。

マネージャーのデスクに居座って、業界紙などをパラパラ見ながら、雑誌のライターが来るのを待つ。

「あ、ありさ載ってるじゃん。」

事務員のまゆが、ありさの見ている業界紙を覗き込んできた。

「え、どこ？」

「ここ。ほら、レンタル女優ランキング５位だって。」

「ちょー微妙なんだけど！」

「何言ってんの。ビデ倫の女優いったい何人いると思ってんの。ランキングで１０位以内は立派だよ。」

「えー。ありさ人気ないみたい。」

「だって、みひろちゃんが３位で、あきほちゃんが４位だよ？」

「ほんとだ。１位のあきって、誰これ。このランキング、おかしくない？」

毎回毎回チェックはしなかったが、やはり人気ランキングや、売り上げランキングは気になるものだ。

ありさが１位をとれたのは、たったの１回だけだった。