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31章:自己犠牲
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31章:自己犠牲
ある時、ベッドでぼんやりとセブンスターを吸いながら、拓海が聞いた。
「お前にとってさ、愛ってなに?恋と愛の違いって、何だと思ってる?」
煙草の煙をくゆらせながら、相変わらず目だけはギラギラした顔で、拓海はありさに問い掛けた。
それは、考えたこともない定義だったから、ありさは暫く言葉が出ない。
ベッドの中で、拓海に向き直り、自分なりの答えを探してみたが、出たのは陳腐な言葉だった。
「…えー、何だろう。好きで好きでしょーがない、みたいなことかなぁ。もう、その人以外、誰のことも好きになることなんて考えらんない、みたいのが愛?恋は、もっと軽い感じ?うーん、わかんないや。」
拓海は、嘲笑した。
「ありさって、やっぱその程度なんだな。まだ、誰のことも愛したことないんだ。ありさの、好きとか、愛してるって言葉めちゃくちゃ軽いもんな。」
「えー、それは心外。あたしなりに、真面目に好きだし、ちゃんと愛してるよ。軽いなんて、思ったことない。」
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