9章:−海羽と大海− (4/8)

誠一郎『いや。ﾊｰﾌみたいに彫りが深い顔立ちだなって、なあ？』


ｱﾀｼ『そぉそぉﾊｰﾌなの？出身は？』


健人『ﾊｰﾌではありません、奄美大島です。』


ｱﾀｼ『惜しい…』


健人『へ？』


ｱﾀｼ『あ、いやこっちの話よ。よく似た人が昔…いたのよ』


健人『僕にですか奄美大島や沖縄の方なら似た人はいますね、』


ｱﾀｼ『沖縄の人で、ﾓﾃﾞﾙ上がりで大手の銀行に就職したんだけど。』


健人『奇遇ですね、僕もその方と同じような人生になってるんですねいるんだなあ、』


海羽『へえ初耳だわ。その人は今でも銀行ﾏﾝ？』


誠一郎『就職してすぐ事故で亡くなってしまったんだ。だから立花くんを見た時一瞬何かの間違いかと思ったよ』


健人『亡くなられたんですか。僕はその方の分も頑張って仕事しなきゃ、ですね』


ｱﾀｼ『ごめんなさいね、いきなりこんな話して』


海羽『あ』


ｱﾀｼ『何』


海羽『ｹﾝｼﾞ…』


ｱﾀｼ『えなんで…』


海羽『ｱﾙﾊﾞﾑに写真と名前があった気がする。小さい頃見た気がするｲｹﾒﾝだよね。』


ｱﾀｼ『海羽が見たのって小学校上がる前よ？』


海羽『なんか思い出した健人は健康の健に人だけど。ｹﾝｼﾞは片仮名で書いてあった』


健人『男性で片仮名の名前ってあまりないよ。難しい字を使うなら片仮名で書いたりするだろうけど。』


海羽『そっか』


ｱﾀｼ『新垣賢嗣って書くの。まだぎりぎり覚えてた。ｱﾀｼが20歳だった。賢嗣は４つ上でね…。』


誠一郎『俺はずっと愛希に片思いしながら女遊びしててさ。卒業するまでに、みんなで飲み会しよーってなって。その時愛希は、賢嗣が彼氏だった。あの実家にしばらく賢嗣も住んでた。』


海羽『たぶんおばあちゃんちでｱﾙﾊﾞﾑ見た気がするもん。』


誠一郎『俺はどうしても愛希を手に入れたくて口説きまくったわけ。何回か会ってたんだけど。』


海羽『浮気？』


ｱﾀｼ『若かったから刺激に負けたのかも。』


誠一郎『遠出をする事になって、出かけたら、ｻﾕﾐの旦那とｹﾝｼﾞがﾚﾝﾀｶｰで事故起こしてｹﾝｼﾞは即死だったんだ。それで愛希は自分が浮気してたから神様はｹﾝｼﾞを取り上げたんだって思って、しばらく引きこもり。』