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3章:ハヤト (1/4)

3章:ハヤト

「らっしゃ〜っせ!」

ガンガン音楽が鳴っている。

え?こんなに賑やかなの?

「シャンパンあけてはるなぁ」

ユリアの視線の先を見ると、ホストが何人も集まりシャンパンコールの真っ最中だった。

「あのお客さんの隣に座ってんのが彼氏やねん」

立ったホストたちの隙間から、ごく普通の女の子に見えるお客さんと、その隣でお客さんの肩に手を回したホストが見えた。

男前。
ユリア、メンクイなんやな。

「ユリアちゃんごめんなさぃ、コール終わるまで待ってもらっていいですか」

「いいよ〜。」

やがてコールがおさまり、私たちの席にユリアの彼氏が来た。

「はじめまして。ハヤトです。ユリアの友達?同じ店?」

「そやで、綺麗な子やろ。」

源氏名言うてもいい?とユリアは私に耳打ちしてきた。

こくりとうなずくと、
「マリエちゃん。
メンクイやし男前つけてや。」

ユリア…私メンクイ違うよ。

「そうなんや〜。よろしくね、マリエちゃん」

その時、どっとハヤトの心の声が入り込んできた。

普段私は心の声を聞かないように遮断しているが、強すぎる想いに出逢うと、遮断を越えて聞こえてしまう時がある。

中学時代から知っていた男女の『想い』が強いことに加えて、この街に来てから金銭への『欲』も強い想いであることを知っていた。

ハヤトの想いはかなり強かった。
私はさらに強く声を遮断するのが間に合わなかった。

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夜蝶〜アリサ〜 ©著者:茉莉花

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