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「聞いてんのかよ」
また遠藤の蹴りが、僕の肩に入った。
『蹴り』というより『かかと落とし』と言った方が、正しいのか?
「亜椰を紹介すれば、オマエで遊ぶのやめてやるよ」
偉そうに…。
気安く『亜椰』なんて呼ぶなって、さっきも言っただろ……。
「おい、霧島ぁ!聞、い、て、ん、の、か、よ!」
黙っていると、何度も遠藤のかかと落としが、僕の肩に入る。
いつもの僕だったら「わかった」と、答えていただろう。
けど…、亜椰が関わったら話は別だ。
「…嫌だ」
言った。
遠藤に逆らったことなんて、一度もなかったのに、同級生に自分の意思を伝える度胸なんて、全くなかった僕が、堂々と断れた。
「あ?」
遠藤が、すごんだ。
「だから…、亜椰を紹介することは…でき、ない」
「オマエ、誰に口聞いてるかわかってんの?」
「わかってる…わかってるけど、亜椰は…亜椰だけはダメなんだ…だから…」
僕が、そこまで言ったのを聞いてから、遠藤はゆっくり立ち上がって、その立ち上がったときの速度とは裏腹に、すごい速さで僕を殴った。
それからは殴られたり、蹴られたり…僕は、サンドバックのようになっていた。
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