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5章:好きな人
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裕介のいるカフェに行ったものの、裕介が誰かわからず、僕は暫く観察していた。
けど、店長らしき人物が「裕介!」と、彼を呼んだことで、裕介が誰なのかわかった。
そこから、裕介をマサと同じように持っていくのは、簡単だった。
軽い気持ちで、亜椰に近付いた裕介への怒りと、早く亜椰の声が聞きたいという気持ちで、僕はマサのときよりも早く終わらすことができた。
「電話じゃなくてメールで良かったのに」
裕介とのことを終わらせて、電話をした僕に亜椰は言った。
「うん…亜椰の声…聞きたかったんだ」
電話の向こうで、小さな溜め息が聞こえる。
「やめて」
「…ごめん…なさい…亜椰、まだ怒ってる?これから謝りに行ってもいい?」
「もういいから、やめてよ」
「ごめん…でも……」
「もういいかな?また用があったら連絡するから切るね?」
「あっ、待っ……」
「待って」そう言いかけたところで、電話は切れた。
亜椰に会いたい…。
会って謝りたい…。
亜椰…。
亜椰は今、なにしてるの?
なに考えてるの?
亜椰の全部知りたいよ…。
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