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2章:彼女からのプレゼント (3/10)

「め、珍しいね亜椰が僕ん家に来るなんて…な、なんかあったの?」

辺りには、とても亜椰に見せられるような物じゃない代物が、散乱している。
僕はそれを片付けながら、亜椰との会話を長引かせようと、必死に話していた。



「なにもなかったら行っちゃダメなの?」

亜椰の声が、携帯ともうひとつ……

「それに珍しいってゆうか、アンタが一人暮らししてからは行くの初めてだけど?」

……そう。
背後から聞こえて、振り返ると亜椰は、そこにいた。玄関のドアを開けて散らかった部屋を片付ける僕を、見下ろしている。








鍵……
かけ忘れたんだ…。









「いや…っ!そ、そうだよね、亜椰が僕の家に来るのは初めてだよね…はは」

動揺しすぎて頭が働かないけど、とりあえず散らばった代物たちは、僕の背後に隠した。
そして、気になった疑問を投げかける。

「え…でも、なんで…」

亜椰は、動揺する僕を観察するように見つめながら、言った。

「自分で教えたんでしょ?ここの住所」




あぁ…そうだ。
滅多に会えないし、連絡もなかなか取れない亜椰に僕は、一人暮らししていることをメールで伝えたんだ。
住所と一緒に…、『子供の頃みたいに僕ん家に来ない?お勧めの映画もあるし』なんて…。



住所を教えてから、だいぶ経ってたから、忘れてた…。





「で?その後ろにあるのがお勧めの映画のDVDなの?」

「え…っ!いやっ、これは違くて…」

亜椰が小さく笑った。

「そんなんどうでもいいんだけど頼みがあるんだよね…」

「た…頼み…?」

「そ。皐月にしか頼めない頼み」

そう言って微笑むと、亜椰は大きな紙袋を、僕に向かって投げつけ、

「あたし外に出てるから、それに着替えたら声かけて」

と言って、僕の返事も聞かずに部屋を出た。

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青い花 ©著者:壱乎

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