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11章:−2年後−
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ケンジの三回忌
みんなで沖縄に行く。
海羽は初めての飛行機に戸惑い気味だった。
海羽『マーマ』
少し話すようになった海羽はもう2歳になる。
最初に覚えたのはやっぱり『ママ』だった。
少し会話が出来るようになったし少し育児も楽になった。
よく食べて、よく遊んで、よく寝て、よく笑って…。
ほとんど手のかからない子だった。
誠一郎が荷物とバギーを持って、アタシは海羽の手をひいて空港からケンジんちに向かう。
1泊しないで、とんぼ返りだけど。
ケンジ母『あらあ、よく来てくれたわね。いらっしゃい。あらあ
』
海羽を見てケンジ母は歓喜の声をあげた。
ケンジ母『この子が海羽ちゃんね。可愛らしいわあ。愛希ちゃん似ねえ〜』
海羽は勝手にケンジ母に近づいて行った。
みんなでリビングに行き、ケンジ母の膝の上で海羽はおとなしくしていた。
アタシの耳にはピアスみたいなほくろがあり、海羽にもついている。
誠一郎はお洒落だって笑う。
ケンジ母『あら、まあ。耳に…』
それ以上言わなかった。
ケンジにもその位置にほくろがあったから。
それだけは誠一郎に言ってなかったから。
ケンジ母も言わないでくれた。
あとでこっそりケンジ母と話した。
そしてケンジの部屋に行く。
よく見ると壁に海の絵が飾ってあった。
誠一郎『この絵…不思議だな。なんか海羽のためにある絵みたいだ。』
羽モチーフの額縁に海の絵がおさまっていたからだ。
アタシ『本当に…、あれ。』
小さく人影まで描かれていた。男女の間に小さな子どもの。
アタシ『アタシ達みたい。』
ケンジんちをあとにして、少しだけ海を見に行った。
海羽はつくまで終始落ち着かない様子だった。
海羽を膝に乗せて砂浜に座る。
海羽『マーマ
じゅっと』
アタシ『ん?』
海羽『じゅっといっしょだょ』
アタシ『え…』
誠一郎『良い言葉覚えたな
ずっと一緒な。』
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