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8章:オカノトモヤ。 3 (2/2)

「ご主人様に聞いてくるコン」


2匹のうち、
イナリは急に姿を消した。


「コンコン」


コマは、
松永の近くに寄り添った。


「…あったかい…」


松永はコマを両手で抱き寄せた。


「…コマ達のご主人様は、何者なの?」


「神様だコン。
とても偉大な神様。
今は岡野さんのところにいるコン」


「…岡野って、
あたしと入れ替わった人だよね?
何か、ややこしいなぁ」


松永は苦笑いをした。


「そうだコン。
松永さんみたいに優しい人じゃないコン。
ダメなやつだコン」


「そこまで言わなくても。
あたし、これからダメなやつになるんだよね?」


「松永さんなら平気だコン。
ご主人様が選んだ人だコン。」


「………」


松永の脳裏に浮かんだのは。


「…あの男の人、
もしかしたら…」


「…ご主人様に会った?」


松永のひとりごとに、
コマが答えた。


「すっごい綺麗な着物着てた、
茶髪のイケメン?」


「そうだコン」


コマはそっと、
松永に微笑んだ。


あれは、
夢じゃなかったんだ。


松永はコマの背中に顔をうずめながら、


ひとりでつぶやいた。
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不幸自慢ができる幸せをあなたに。 ©著者:前田つぐみ

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