22章:ﾔｺｳﾄﾓﾐ。1 (14/14)

「あんたら見てるとさ〜じれったいんだよね〜
さっさと付き合っちまえよ。
いつ離れ離れになるかわかんねーだろ？」


イナリは心配していた。


この日々の後、
岡野は消えてしまうかもしれない。


そうしたら、
矢向はどうなる？


余計なお世話だと、
重々承知はしていたが…


「…ん？」


矢向はスーツのポケットに入れた携帯電話を取り出した。


呼び出している。


「…岡野士長からだ…
もしもし？」


…松永ちゃん、
やっぱり女の子だね…


イナリは思った。


「今の岡野」は、
矢向の気持ちに、気づいていた。