1章:普通の女の子 (7/7)

「そのﾜﾝﾋﾟｰｽ、かわいいですよねぇ！」

店員さんに声を掛けられて、私はﾊｯとした。
随分長い時間、このﾜﾝﾋﾟｰｽに見とれていたようだ。

「はい。すごく…！」

そう言いながら振り返ると、そこにはお人形さんのような店員さんがいた。

「童話をﾓﾁｰﾌにしたﾌﾟﾘﾝﾄで、人気のものなんですよ。今私も着てるんですけど、着心地もすごくいいですよ。」

かわいい服に身を包んだ、かわいい店員さんが、かわいい声で喋る。
甘美な魅力に、頭がおかしくなりそうだ。


そんな、夢のような空間。
このお店の名前は、「ｼﾅﾓﾝﾊｰﾂ」。