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6章:瞳 (16/16)


それだけでいい。

そう言って、イチイさんはあたしの頭に手を置いた。

ふわりと香る、キャスターの甘いにおい。

「…はい、」

わかりました、と返事をすれば、

「変な子」

と笑われた。

「イチイさん、」

「ん?」

「…の、下の名前は、」

なんですか、と、まるで車から降りないための時間稼ぎのように出てきた質問に、イチイさんは楽しそうに笑ってくれた。

「瞳だよ、」

「…瞳、さん?」

「女みたいでしょ?」

そう言って、細められた瞳は、夜の闇のように深い黒。

「なんだか…」

「なんだか?」

「すごく、似合います。その名前、」

感心しながら言うと、イチイさんは一瞬キョトン、としてから、やがて照れたように頭をかいた。

跳ねた毛先が、ふわふわと揺れて、

初めて言われた、と笑うイチイさんに、あたしも頬を緩める。




気がつけば日付は変わっていて、年明けはもう目の前に迫っていた。

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CASTER ©著者:樹里

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