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5章:枷
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「ずっとここに居たんですか?」
「まさか!本屋とかドトールとか駅前ぶらぶらしてた」
にこにこと笑い、あたしの顔を下から覗き込むようにして見つめる。
「そろそろ愛ちゃんが来る時間だと思って、ここで待ってたんだよ。」
あの日から、
仔猫を埋めたあの日から、皆瀬先輩はこの公園に来る。
あたしがここを通ることを知って。
「………、」
「あは、照れてる、」
生徒手帳を、返しに行った。
あの日この公園に忘れていった生徒手帳。
3年生の教室に行って、ドアから顔を除かせると、皆瀬先輩はすぐにあたしに気付いて、
「昨日の!」
と、席から立ち上がり、嬉しそうにぶんぶん手を振った。
それから駆け寄ってきた先輩に手帳を渡すと、何回も「ありがとう」と言って、「今日も公園に行く?」と聞いてきた。
「帰り道です」と言うと、きょとん、とした顔をしてからまたにこにこと笑い、「分かった」と頷いて、
それから、
それから先輩は頻繁に公園に来るようになった。
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