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3章:世界の外側 (9/9)


昼休み、友達が話していた噂を思い出す。

入れ墨、
3年生、
明るい髪の色、

「仔猫だったの、」

きゅ、と水道の蛇口を捻り、先輩が静かに口を開く。

「仔猫だったの。親猫がね、遠くから見てたの。じっと見てた。」

「………」

「あたし、親猫がいない隙に仔猫を運んできたの。」

「そう…なんですか。」

「いまごろ、親猫が探しているかもしれない。」

あたしの方を見ずに淡々と話すから、まるでひとりごとを言っているようだった。

実際、ひとりごとだったのかもしれない。

「寂しいね。」

泥で汚れたワイシャツを気にもせず、鞄を肩にかけた先輩は、そのまま公園を出ていった。

スタスタと歩いていく後ろ姿を唖然とした気持ちで見送り、自分も帰らなければ、と鞄を肩にかけた。

ふと、仔猫の眠る木の下を振り返ると、ぽてん、と何かが置いてあるのが見える。

近付いてみると、うちの学校の生徒手帳だった。

拾いあげて確認すると、自分のものではない。

そっと中を開くと、さっきまで一緒に穴を掘り続けていたその人の顔。

写真の横には、

“皆瀬樹里”

世界の外側に居る人の、名前があった。

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CASTER ©著者:樹里

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