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12章:松永という悪魔 (1/10)

12章:松永という悪魔






『松永太。日本中どこを探しても彼を超える悪魔はいない。恭介さん。あなたさえも勝つことのできない存在だ。』



恭介さんはムッとして
俺を睨みつけた。


自分を誇大し全人類がひれ伏すとでも思っているんだろうか。

彼は少し自己愛性型人格障害の気がある気がした。




高岡刑事は気づいているのか
また恭介さんを挑発し始めた。




『勝田、大久保、宮崎、酒鬼薔薇、宅間。数々の殺人鬼も松永には勝てないだろうな。もちろん恭介君も幸恵も。』





恭介さんは黙って煙草の煙を天に向けて勢い良く吐いた。





『松永太は昔から異常に話術に長けていた。妻子がいる身分でありながら高校時代のアルバムを眺め、独りの女に目を付ける。』





『緒方純子。』





高岡刑事が合いの手を打つように答えた。






『そう。緒方純子。彼女は地元北九州では名家と言われる家の娘で、その当時は保育園で働いていた。松永は彼女の背負う名家という点に目を付ける。』






下らなさそうに恭介さんが言った




『俺が松永で幸恵が純子って訳か?』







『まぁ聞いて下さいよ。お話はまだまだあるんですから。』






自分の台詞を奪われた恭介さんは見た目には平然としていたが目が怒りを物語っていた。


この人はいつもそうだ。




何を言われても平然を装う。





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不気味なお客様 ©著者:灰 ライカ

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