しばらくして俺はオヤジと姉貴と三人で慎ましげに暮らしてた…


すると三年前に女と駆け落ちしてた兄貴が
オヤジに開口一番

『この彼女と結婚することになった！』

そして兄貴は嫁さんと西川口にマンションを借りて住み、しばらくして女の子が産まれた…


そこから俺の人生は徐々に狂い始めてきた！

オヤジは重い糖尿病を患っていたが、大の酒好き…

その割には泥酔状態では帰って来なかった。

必ず宅飲み…

姉貴の料理を食べながら寡黙なオヤジはテレビを観ながら黙々と一杯やっていた！

飲む酒は必ず
ウイスキー
昔で言う『ジョニ黒』だった

とてもダンディーなオヤジだった…

俺の中学の入学祝いはドライヤーとゴールドの櫛と『バイタリス』という整髪料だった…

オヤジ曰く
『男はどんな時も身だしなみは綺麗に』がオヤジの口癖だった…

そんなオヤジの背中を見て育った俺は自然にファションに興味を持つようになった

兄貴とはいうと娘も幼稚園児になり、立派に育った

その後、兄貴から
『オヤジも糖尿で大変だから一緒に住まないか？』とのオヤジにオファーがあった…

オヤジも考えた挙げ句、了承して兄貴夫婦と一緒に住み始めることになった

それが俺の人生を狂わすとは夢にも思わなかった…