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2章:母に悪いと思った (1/1)

2章:母に悪いと思った

私は母が甘いものが好きだったのを知っていたし、弟だって見つければ欲しがることも分かっていた。

だから、二つは先生にあげて、自分は一つだけ食べ、後は二つは残して帰ろうと決めて学校に向かった。

先生、喜んでくれるかな?
美味しいって言ってくれるかな?

そう思うと早く遠足に行きたくて自然と駆け足になっていた。

とても楽しいことが待っているような気がした。

背中のリュックがゆさゆさと揺れ、カタカタと鳴った。

益子の白山という、なだらかな山に登り、待ち遠しいお昼のお弁当の時間になった。

お弁当の包みを開けるとおむすびの海苔の香りがフワッと広がった。いい匂い。その匂いを胸いっぱいに吸い込むと幸せな気分があふれて来た。

友達が広げたお弁当は様々だった。

色とりどりの海苔巻きの子。私のようなおむすびの子。お芋だけの男の子。

そして、果物まで持って来ているお金持ちの子もいた。

みんなが少しづつ「お味見」を先生のところに持って行くので、先生の膝の上は食べ物でいっぱいになった。

私も先生にあげなくてはと思い、今度は草もちの包みを勇んで開いた。

「うっ、何これ…」
そこには五個の草もちではない、大っきい団子がひとかたまりになってくっ付いていた。

でもお母さんが作ったんだから甘くて美味しいんだ…。

そう思い、私は大好きな先生にどうしても食べてもらいたくて、その塊を手でちぎって、ウンニャっと二つに分けた。


そして先生に言った。
「あのぅ、小さい団子がくっついて、大きくなっちゃったんですけど…」

「ありがとう、美味しそうね。お母さんにご馳走さまと言っておいてね」
先生はそう仰ってくださった。

やはり先生は優しい。
大好きだと思った。
でもその後、私は見てしまった。


クラスでいつも片隅のほうにいたちょっと汚れて臭う女の子に、先生がそのお団子を食べさせているのを。


母に悪いと思った。
私がリュックを弾ませ過ぎて大団子にしてしまったのだ。

先生にはまずそうに見えたのだ。

本当はお母さんだって食べたいのを我慢していたのに。

お姉ちゃんや弟にだって食べさせてあげたかったのに。

家に帰った私は、そんなことは絶対に言えないと思った。

「先生がとても美味しいって言ってたよ」
「お母さん、作り方上手だねって言ってたよ」

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草餅 ©著者:吾が肺は2個

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