広田は一人また地下にある部屋にいるままだった。

しかし男がよく話しをしに入ってきては、確認だけして出て行く。

雰囲気的には解放されそうな予感がしていた。

『おい、出ろ。』

金も全て取られ、ようやく解放かと胸をなで下ろした。

部屋から出ると櫂を袋にした組長が立っていた。

『櫂って奴口割らねーからよ。お前がカマかけろ。あいつの持ってる金を回収し終えたら、お前は自由だ。』

『そんなの無理ですよ。あいつは絶対に無理です。』

『なにが無理なんだよ！やってもいねぇで何ぬかしてんだコラァ！』

『仮に俺がカマかけても引っかかるような奴じゃないし、金だってあるかわかりません。』

『金はある。必ずあいつは持ってる。お前が言うこと聞けねぇならよ、考えがあんだよ。』

考えとは、まだ意識が戻らない兄貴にトドメを刺すことだった。

『やめてくれぇーー！』