櫂は飛行機に乗っていた。

隣りには薫･･･ではなく東さん。

あれから毎日電話してくるし、何するにしてもお供します。が、お決まり。

今回もいいって言ってんのにうるさいから連れてきた。

先が少しだけ思いやられるが、頭がいいし、情報通なのでまぁいいか。

これで仕事できなかったらウケる、なんてフライト中にニタっていた。

『東さんは札幌初めて？』

『二度目ですね。一度渡辺さんにお供しましたから。』

渡辺さんも大変だったんだろうな。東さんの扱い。

久しぶりに札幌に来た。

やっぱり来る度に街並みが少しずつ変わっている感じ。

市内へ向かうタクシーもずっと外を眺めていた。

まだ誰とも連絡は取っておらず、ススキノをぶらついて、いなかったら電話しようと思った。

偶然って素敵やんって感じで誘おうと考えてたから。

日も暮れだしてきて、ススキノのネオンもくっきり見えてきた。

『東さん、とりあえず飲もうよ！久々だからテンション上がるわぁ。』

『ご馳走様です。それとそろそろさん付け辞めて下さいね。』

一件目からガンガン酒を煽り、

『東ぁ！もう一件行くぞー！』

『行きましょう櫂さん！』