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1章:アダルトチャット (8/8)

翌朝、私は寝坊をしてしまい、慌ててメイクもそこそこに会社に向かった。



出勤するために駅まで向かう途中も、まだ頭の中は夢見心地だった。



自分の中に目覚めたもう一人の自分は、もしかしたら現実の生活でイブのように振る舞ってもいいのかもしれない…



私は電車の中から、窓の外を流れる景色をぼんやり眺めながらそう考えていた。



『いつも沙織に、ノリが悪いって言われてるけれど、もう私は違うわ』




ブルーと約束した金曜の夜になった。



『私のしている事はバーチャルな世界、刺激を求める2人が時間を共有するだけだったのに…実際に声を聞いて話をするなんて…大丈夫かしら?』



私はワインを開けて、少しずつ飲んだ…そして電話の前に座った。



電話のベルが鳴った。



「はーい、イブよ」



「やあ、イブ。今、何をしてたの?」



受話器から聞こえて来るブルーの声は、少し掠れた男っぽい声だった。



「着替えて、ワインを飲んでいたのよ」



「どんな格好なの?ベッドの中?」



「ベッドの上で枕にもたれているわ…黒いタンガだけよ」



「タンガって?」



「Tバックのことよ」



「すごいね、イブは本当にセクシーなんだね」



私は慌ててベッドルームに移動すると、カバーを剥ぎ取り横になった。



イブに変身するために。
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アレグロ ©著者:椎名

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