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8章: 【IN SILENCE】
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「どうぞ…」
部屋のドアを開ける。口数が少ない。
「おじゃまします…」
玄関の先は右がキッチンで左がトイレとバスルーム、その先が6畳ほどの部屋だった。いわゆる1Kってやつだ。
「適当に座って…ビールでいい?」
俺は「ああ」と返事をしマットレス型のベッドの横に座った。
梓がビールを持って来て横に座る。
ビールを飲みながら5分ほど沈黙が続く。
「何でそんなに口数少ないの?」
沈黙に耐えらんなくなって俺が口を開く。
「……トオルはアズの事どんくらい好き?」
「はあっ!?どんくらいって…?
例えば地球3周ぐらいとか答えればいいの?」
「そういうんじゃなくて…。」
「じゃあどういうんだよ?」
「一昨日アズに惹かれてるって好きになってきてるって言ってくれて、昨日抱いてくれたよね。」
俺は梓の目を見て頷く、真剣な眼差しだった。
「ねえ…、嘘つかないで答えてね。トオル本当に彼女居ないの?」
「居ないよ。」
「本当に?」
「本当だって!じゃなかったらお前に暫く泊まっていいなんて普通言わねえだろ。」
「だって普通じゃないし…。」
「うっせぇっ!
はいはい30過ぎた寂しい独身男ですよ。んで?」
「なんで居ないの?」
「2年ぐらい前かな子持ちの女と3年付きあって別れたんだけど…
最悪な別れ方で彼女を作る気にはなれなくて、それからは遊びかな。」
「アズも遊び?」
「違うよ。」
「何でそんな簡単に言えるの?」
「梓にだったら傷つけられてもいいかなって思うから…」
「何で?アズひどい女かもしれないよ。」
「まあ、それならそれで俺が見る目がなかったって事だろ。
つーか、付き合いたいの?なんなの?」
「わかんない…
つき合うってなると怖い。でも一緒に居たい。
それに…
話さなきゃいけない事もあるし…。」
「俺も聞きたい事がある。」
「何…?」
「ピンキーリング。」
俺がそういうと梓は右手で左手の小指を隠した。
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