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9章:伸ばされた手 (8/8)

俺のコトを調べた。
すると、すぐに薫を見つけた。

「憎かった…花に大切にされて
笑ってるこの子が」

だから攫った。
どうしようと思ったわけじゃない。
ただとっさに、連れてきてしまった。

「花が欲しくて…欲しくて…
手に入らないなら、いっそもう
全てを壊してしまいたかった…」

溢れた涙が、彼女の頬を伝う。

リンがそこまで本気で想ってくれていたなんて、知らなかった。
気づきもしなかった。

脱力して、へたり込むリン。
代表がその手から、そっとスタンガンを取り上げた。

俺は薫に駆け寄り、猿ぐつわと腕を縛っていた紐を、急いで解いてやった。
自由になるなり、薫が抱きついてきた。
その体が小刻みに震えている。
怖かったよな…

「ゴメンな…薫」

俺は薫の小さな体を、ぎゅっと抱きしめた。

俺のせいだ…

俺が守ると決めたのに、あろうことか俺のせいで危険な目に合わせてしまった。
“親”失格だな…

「帰ろう、薫。桃も待ってる」

コクンと頷く薫。

代表と手を繋ぎ、先に車に行ってもらった。
リンと、2人になった部屋の中。
彼女のすすり泣く声が響いている。

「俺、リンちゃんの気持ち
全然わかんなかった…ゴメンね」

「……」

「でも、薫を傷つけないでくれて
ありがとうね」

「…え?」

「でも…もう薫の前には現れないでね」

「花…っ」

リンが伸ばした手を、俺は無視した。

そうして、それからリンの姿を見るコトは…なかった。
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薫と花 ©著者:柚木

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