ホスト,キャバ,風俗等のちょっと大人の無料ケータイ小説!PC,スマホ、ガラケー全対応!

5章:桃 (2/9)

「…な、花っ!」

リンに揺すぶられて気が付いた。

俺は随分と長いコト、ボーッとしていたらしい。
もう店もラストの時間が近づいていた。

「大丈夫?」

心配顔で俺の顔を覗き込んでくるリン。
俺はパッと笑顔を作ると。

「大丈夫、大丈夫!
ちょっと妄想が止まらなかったわw」

と、笑って言った。

リンはまだ心配な様子だったが、おちゃらけて笑う俺に、それ以上はツッコんでこなかった。
彼女の、こういうさり気ない気遣いができるところを、俺は気に入っていた。

「花さん、ラスソン何にしますか?」

内勤がこっそりと尋ねてきた。

お、ラスソンか。
つーコトは、今夜の売り上げは俺が一番ってコト。

良かったー(;´〓`)

代表のプレッシャーにも打ち勝って、なんとか結果を出すコトができた。
俺はホッと胸を撫で下ろす。

内勤に曲名を伝えて、いつの間にか空になっていたリンのグラスに、酒を作り足した。
そして自分のグラスに残っていた少ない酒を、ぐいっと飲み干した。

…あのときは酒なんて見たくもないと思ってたのに、今じゃ毎晩のように酒を飲んでる。
因果なもんだな。

なぁ、姉ちゃん。

姉ちゃんは未だに酒が嫌い?
俺がこんな仕事してるって知ったら、軽蔑する?

ゆっくりと、店内が暗くなり、内勤が俺の元にマイクを届けた。
曲の前奏が流れ出す。
今宵のラスソンは、ゆずの“いつか”。
43 /230

※この小説を友だちに教える⇒メール

いいね LINEで送る

薫と花 ©著者:柚木

夜のケータイ小説サイト「ホスラブ小説」
PC,スマホ、ガラケーで全ての機能が利用できます!

Copyright © hostlove.com All Rights Reserved.