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7章:love (16/16)

またハートマークの花火が上がった。
今度は失敗じゃない、綺麗なハートマーク。

「涼介、いまのハートは
ちゃんとしてたね」

俺はちぃに話しかけられる前に、隣から背後に回っていた。
ふわりと、後ろから抱き締める。
ちぃの右の肩に顎を乗せた。
香水の甘ったるい匂いと、シャンプーの爽やかな香りが、俺の鼻孔をくすぐった。
心臓が壊れるかと思うくらいドキドキする。

「もーそろおしまいだぁ」

花火大会の、終了時刻が迫っていた。

俺はちぃを抱き締めながら、いつまでも花火が上がり続ければイイのに…と心の中で願った。
このままずっと、ちぃを腕の中に閉じ込めておきたい。
ずっとずっと一緒にいたい。
頭ん中で“Squall”が流れている。
あぁ、俺ホントにこの子が好きだ。

最後に特大の柳花火が打ち上がった。
枝垂れる柳のように、火花がゆっくり落ちて消えていく。

「かぁぎや〜」

ちぃの耳元で、今度は囁くように言った。
彼女を抱いていた腕をするりとほどいて、缶ビールを飲み干す。

静寂が辺りを包む。

花火の代わりに、今度は月と星が俺達を照らしてくれた。
月明かりの下で見るちぃは、綺麗だ。
普段は可愛らしい少女のようだけど、ふとした表情は美しい女の顔だった。

それが俺の、大好きな女の子。
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無題 -side涼介 ©著者:柚木

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