2章:second bonus はみ出し者の宴（ヤンチャな事態 (17/17)

哲『オレに話してくれませんか』

銀『…オレ何か哲に隠し事してたっけ？』

哲『いや、してないはずっすよ。銀さんの事は大体なら知ってます。ただ…全てを知っているワケじゃない』

銀『……つまり、全部を知りたくなったと』

哲『…話せますか？』

銀は試験管をテーブルに置き、マイセンライトに火を着けてゆっくりと煙をくゆらせた。

銀『ふ〜っ、哲らしいよな。この状況、このタイミングで、オレの事聞いてくるなんて』

哲らしい――銀は哲の事を自分と同じ確率論にウェイトを置いた人間だと捉えていた。
そうなったバックボーンは２人とも博打だ。
銀はパチスロで、哲はおそらく麻雀でその思考回路が形成された。

人間が何らかのリターンを得ようとする時、そこに辿り着くために幾通りかの選択肢を考える、その選択肢の中からベストアンサーの可能性が高いものや期待値が100％を超えるものをチョイスする。


哲『まぁ、前から気にはなってたんすよ。それをもし、聞けるのであれば、そのタイミングはこーゆう時しかないかなって…』


銀（リベラルな性格の哲なら偏見や先入観によるフィルタリング無しでオレの話を理解して自分なりに判断してくれる……哲なら良いかな）


銀『う〜ん、ベストな選択肢だ』

哲『じゃあアンサーバックお願いしゃーす』

銀『しょーがないなぁもう一回だけだゾ』


他人には語れない話
それはその人間の傷そのものに他ならない。


ＤＮＡからすでにシャレで出来た人間が味わってしまった、どーゆうワケだかシャレになんなかった１２年の話。

泣いても笑っても泣けてくる。
なら開き直って笑っとけのノリで突っ走った１２年間。

それを包み隠さず、シャブを静脈注射する時の様に、わずかな漏れもない様に全てを哲に話そうと銀は決意した。

その瞬間、なぜかケツの穴を知人他人を含めた多くの人に覗かれるようなクソ恥ずかしい気持ちに襲われた。