3章:a Revelious age　　　１６歳 冬 12月28日〜 (2/55)

ガタンゴトン〜
ガタンゴトン〜

次は駅〜
次は駅〜

熊本市から少し離れた地方にある駅名を車掌が告げる。

外の寒々しい冬景色とは対象的に暖かい陽の光が射し込まれた電車内には高校の制服を纏った１６歳の銀がいた。


銀（お〜、なつかしいなこの風景、でもいくら眺めてもハラの足しにもなんねぇな、つーかすっげーハラ減った）

学ランのズボンのポケットをまさぐる。

３５０円…
３５０円…

銀（何回見てもバス賃しかねぇ…）


目的の駅に停車した電車から降りた銀は迷わずキヨスクへ向かい、さらに迷わず握り飯の梅おかかを３個購入。
速攻で完食。

銀（あーうまかった。生き返ったぁ〜、やっぱ人間はごはんで出来てんな）


学ランを脱ぎ、それを腰に巻いてスニーカーの紐を結び直す。

銀（っしゃ！一文無しのついでに家までトレーニングじゃーっ）

駅から走り出そうとした瞬間、誰かが後ろから呼んだ。

『オイ、銀！』

後ろを振り返り、声の主を確認する。

銀『おぉ、凌！』

日ノ本凌… ひのもと りょう。茶色い外ハネセミロン毛に高い背と端正なルックスのイケメン、頭は切れるし、名前も売れてる、地元のアタマ的な存在の幼なじみ。
当然ようモテる。

凌『寮生活のお前が駅にいるって事は、お前やっと冬休みかよ。信じらんねー、今日は１２月２８日だぞ』

銀『まぁそんなもんだろ、正月の三が日過ぎたらまた寮生活だし』

凌『はぁ〜っ、年の瀬までチャンバラして、自由の無い寮生活で女も作れず、背もチビでボーズ頭なんて、せつねーな。お前見てると笑いしか出ねーよ』

銀『うっせっーし、笑って貰えて何よりだよコノヤロウ。しかもチビは関係ねーし。てか凌こそ駅で何してんだよ？カツアゲ？』

凌『女送った』

銀『おぉナイスタイミング、なら今から帰るとだろ。家まで送ってよ』

凌『やだよ、なんで原チャ２ケツでヒネの家に行くなんてアブねぇ橋渡んだよ』