2章:second bonus はみ出し者の宴（ヤンチャな事態 (16/17)

はみ出し者の宴から１６時間後。

小雨が止まない土曜日の午後７時。
女の子達は１時間程前にマンションを出ていた。

乱交部屋で爆睡している松とは対照的に隣の銀の部屋で哲と銀はテンション高めで喋っていた。


銀『だぁーっはははっんじゃ２人で潮吹き合戦したの』

哲『やりましたよ、んでオレもテンション上がってそのままマンコ舐めたんすよ。そしたらだっごヤバかったけんすね』

銀『え、何すげー臭かった』

哲『いやいや、吹いた潮からなんとシャブの味がＷＷＷ』

銀『マジかよありえねー』

哲『マジでマジっす、それ舐めた瞬間……
うわっ、にがっ…って叫んだっすわ。しかも、女にも舐めさせてみたらまったく同じリアクションでマジ笑ったっすよＷ』


銀『あはははっはははっ、はぁ〜ポンポイターイ』

哲『ね、マジヤバいでしょ』

銀『うん、ミラクル起きてんな』

哲『でも銀さんがヤッてないって絶対ウソでしょ〜』

銀『マジだって、スゲーバッドタイミングで彼氏がいるって分かって、ヤル気がドン引きしたんだって』

哲『じゃあ、その後どうしたんすかすぅーっ』

銀『２人で炙りながら彼氏の悩み聞いたり、オレのアルバムとか見てずっと喋ってた』

哲『ふぅ〜。銀さんが悩み相談うそクセー』

銀『ま、どっちかって言うと哲がやりそうなキャラだったわ。すぅーっ』

試験管のネタを交互に炙りながら下らない会話で盛り上がる２人。


哲はふと以前から気になっていた事を思い出した。

オレと知り合う前の銀さんの話、オレは大まかにしか知らない。

銀さんの地元のツレでも全てを知っているのは１人しか居ないって聞いた。

普通の人だった元カノのジュナさんにだって全部は語れなかった筈だ。

おそらくこの人は、他人が居る時には絶対に話そうとはしない。

でも、オレと銀さんしかいないこの部屋で、シャブもバチギマって機嫌が良いこのタイミングで……
オレになら…



自分が見る世界に対して、善だろうと悪だろうと出来る限り色々な事を知りたい。

そんな探求心旺盛で並み外れた頭脳と広い世界観を持つ赤木哲也が銀に対して好奇心を抱くのは当然の成り行きだった。


哲『銀さん…』

銀『…ん』

哲がオレに向ける眼差しはやけに真っ直ぐだった。