これが全ての始まりだった


幸か不幸か…


定かではない


でも、ここで１人の女性と出会った事でアタシの人生は変わっていく…




彼女の名前は“らんちゃん”歳はアタシより２つ上だった


らんちゃんは、ここでの規則などいろいろ教えてくれた


アタシにはお姉さんはいなかったし、約１ヶ月ずっと一緒に過ごしてるうちに


本当のお姉さんみたいに何でも話せるくらい大好きな人になってた


なのに…


ある日、取り調べから帰ってくるとらんちゃんが部屋の片隅で泣いてた


いつも笑っていて、明るいらんちゃんが…


そりゃあね…
こんな所に居れば、夜中に啜り泣く声が聞こえてくるなんてしょっちゅうだけど


そのときは何か違かったんだ。

らんちゃんには彼氏が居た…
お腹に子供も居た


その“子供”を巡っての事件だったらしい…


らんちゃんは被害者でもあるのに、世間は彼女を殺人鬼にした

マスコミは人の不幸を面白可笑しく報道した
事実など、どうでもいい…
人の不幸は蜜の味とはよく言ったもんだ


警察も記者も法でさえも
真実ではなく、結果なのだと


思い知らされた
無力な子供が何を訴えても、権力には敵わない


それに…らんちゃんは“風俗嬢”だった
それもあって聞く耳すら持ってもらえなかった


それでも、らんちゃんの彼氏は

『待ってる』


そう言って、指輪をくれたんだって…
だから、らんちゃんは泣いてた

そんな彼女を見て、強くて綺麗で…
凄く惹かれた